2007年08月09日

米国でハイブリッド携帯が大ブーム!

今年に入って、米国ではFMC(固定電話と携帯電話の統合サービス)ブームが盛り上がっている。そんなことを言うと「なにをいまさら」と思われる読者も多いだろう。FMCと言えば、ブームが去った感のある日本ではもはや古くさく聞こえるからだ。しかし、米国では大手電話会社が次々と新サービスを投入し、ビジネスが伸びている。今回は、にわかに盛り上がる米国版FMCブームを追ってみたい。


 ★発表相次ぐFMCサービス

 日本では、数年前に通信事業者やベンダーの間でFMC議論が高まったが、ヒット製品やサービスがないまま忘れられてしまったように見える。一方、米国のFMCブームは最近、法人市場から始まった。

 たとえば、ラスベガスなどで固定電話サービスを展開するエンバーク(Embarq)社は2006年11月、中小企業向けに「Smart Connect」というFMCサービスを発表した。これは携帯電話と企業内無線LANをシームレスにつなぐサービスで、エンバーク社の固定電話にも転送ができる。つまり、携帯電話の番号ひとつあれば、出先では携帯電話、職場ではVoWiFi(無線LANを使ったIP電話)経由で電話を使い、自宅では固定電話を利用するサービスだ。もともと同社は旧スプリント社の固定電話部門だったが、ネクステル買収にあわせて分社独立し、顧客開拓の切り札として新サービス開発に力を入れていた。

 また、同12月には、無線LAN機器などを製造販売しているアルバ・ネットワークス(Aruba Networks)社がFMC戦略を発表したほか、NECが米国のルーター大手ジュニパーネットワークスとFMC製品で提携した。このほか、無線LANと携帯網を1つの番号で統合するワンナンバーシステム(NomadicONE FMC)をシーメンス社経由で販売しているブリッジポート・ネットワークス(BridgePort Networks)社が、同じく12月にベンチャーキャピタルから1300万ドルの追加資金調達に成功した。


  ★家庭向けサービスも開始!



T-Mobileの家庭向けFMCサービス「HotSpot@Home」


 こうして迎えた今年、FMCブームは本格化した。その牽引役となったのが携帯端末最大手のノキアだ。同社は今春から携帯・無線LANのハイブリッド携帯端末をシスコシステムズやIBM、ベライゾン・グループなどに積極的に売り込んだ。

 そして夏を迎えると、AT&Tビジネスやベライゾン・ビジネス、スプリント・ネクステル、ベライゾン・ワイヤレス、IBMなど法人ネットワークを扱う大手システムインテグレーターや携帯事業者が続々FMCサービスを発表し、米国企業向けに活発な営業活動を続けている。





 一方、一般消費者向けでは携帯業界4位のT-Mobile社が台風の目となりそうだ。同社は昨年末からシアトルで家庭内無線LANと同社のホットスポットおよび自社携帯網(GSM)で使える携帯電話サービスを実験し、一般家庭向けFMCサービスの開発に熱心だった。

 そして6月、いよいよ「Hotspot@Home」という名称で一般向けFMCサービスを開始した。同サービスは月10ドルの割り増し料金を払うと、携帯電話で自宅の無線LANやT-Mobileのホットスポット(全米約8500カ所)を通じVoWiFiが使える。端末はノキアやサムスン電子製が用意されている。トップ2社に比べ通話エリアが少ないという同社の悩みをFMCで補強する狙いがある。

「ブラックベリー」は日本語版も登場!


 こうした動きに、スマートフォンの「ブラックベリー」で有名なカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)社もFMCサービス参入の準備を始めるなど、まだまだFMCブームは続きそうだ。


★米国流FMCのメリットは企業の通信コスト削減!

 FMCブームの要因はいくつかある。もっとも大きな理由は、法人の通信費用を削減することだろう。米国では携帯電話を会社が支給したり、仕事の通話料を会社に請求したりするのが一般的だ。おかげで従業員あたりの携帯料金負担は80ドルから400ドルと言われ、その4割が自宅や社内からの通話となっている(調査会社Yankee GroupやGartnerなどのFMC関連発表資料より)。


 一方、企業は社内電話の料金を下げようと、ここ数年IP電話を導入してきた。しかし、従業員は取引先などの電話番号をすべて携帯電話に集約し、安いIP電話が目の前にある社内でも携帯電話で仕事を済ます傾向が広がっている。もちろん、どこにいても繋がるため、取引先やビジネスパートナーも会社より携帯に直接電話する傾向がある。これでは、安いIP電話を入れても通信料は安くならない。

 そこで社内にいるときは、たとえ携帯電話で話しても自動的に社内の無線LANにつなぎ、安くするようにできるシステムを入れる企業が増えてきた。これなら従業員は携帯電話にすべての連絡先を集約できるし、企業にとっても通信費の削減につながる。また、高度なシステムでは、ひとつの番号で自宅(固定電話網)、出先(携帯網)、社内(無線LAN)のどこにいても電話をつないでくれるワンナンバー機能なども提供してくれる。


 米国流FMCの課題は、従業員が自宅で使う携帯通話を安くする方法だ。これには家庭内無線LANを使う方法とフェムトセル(小型基地局)を使う方法が議論されている。

 ちなみに日本では、ソフトバンクがフェムトセルの導入実験を開始した。実用化すれば、自宅でも職場でも携帯電話ひとつあれば用が足りるようになる。その点では、米国のFMCブームに似たところがある。

 ただ、米国でも以前からフェムトセルの導入が議論されてきたが、なかなか具体化できずにいる。それは、超小型とはいえ、フェムトセルが業務用無線基地局であり、電波法によって細かい規制がかけられているためだ。一方、家庭や職場の無線LANであれば、たとえ電話に使っても面倒な手続きや規制の障壁は低くなる。そのせいか、いまのところ米国では、無線LANを使った家庭向けFMCサービスが優勢だ。


 電波の密集度が高い日本では無線LAN環境が電話にはあまり適さないということもあるだろう。また、企業コミュニケーションにおいて、社用と私用の区別が米国ほど厳密ではないのも日本の特徴だ。そう考えると、携帯王国の日本はフェムトセルに走るのか、それとも米国流FMCへと向かうのかわからない。とはいえ、最近の日本を見ていると結論が出るのは、そう先のことではなさそうだ!
posted by まあくん at 15:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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